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今まで、お父さんとお母さん以外でこんなに私のことを見てくれていた人がいただろうか。
「渚先輩、いつもサラサラな髪なのに…今日はもつれてる…」
「ていうか制服のボタンもずれてますよ!」
「靴下…片方違います。」
「え?えぇ!?」
言われて改めて自分を見直す。
全然気づかなかった…
ていうか、めちゃくちゃ恥ずかしい…
「ホントだ…あはは、カッコ悪いね!」
慌てて制服のボタンを正し、髪を手櫛で解く。
靴下はどうにもならないけど…
「渚…ちゃん…っ」
「え?わわ!」
本当に一瞬のことで、いつの間にかリョウくんに抱きしめられていた。
「りょ、リョウくん?」
泣いてる…?
「お願いだから…一人で全部抱え込まないでっ…」
リョウくん…
「渚ちゃんはっ!一人じゃないんだから…僕も…コウもゴウも…アッキーも心弥も…灯也も恭輔も歩もっ…茜も……」
リョウくんがまだ話を続ける中…
私の目から熱いものが溢れ出す。
「みんな…ついてるんだからっ…もっと僕らを頼ってよ…もっと僕らに…カッコ悪いところ見せてよ…」
「う…うぅ…ゔん゙!!」
視界がぼやけて…
みんなの顔…よく見えない…
急に私の頭にポンと誰かの手が触れた。
たぶん、この大きな手は…
昭斗くんかな…
私の周りにみんなが寄り添っているのが分かる。
みんなの暖かい手が私を安心させてくれる。
嬉しいを通り越して…
嬉しすぎて…
生きるって辛いことや悲しいこともあるけど…
こんなに幸せなこともあるんだ…
生きてて…
よかったな 。
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