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「だが、オッチャン!茜が救急車は呼ぶなって…」
「隆二に連絡する。」
「そうだ…そうだよ!隆二先生ならきっと茜を助けてくれるよ!」
良平が涙目で、だが希望の兆しが差し込んだのを確信したように叫んだ。
「今すぐ連絡する。麗子ちゃん、隆二が到着するまで頼む。」
「分かったわ。」
俺はすぐに隆二に連絡をとり、緊急事態だということと、すぐに診てほしいということだけ手短に伝えた。
「バイクかっ飛ばして来てくれるそうだ。」
「よかった…」
とりあえず茜に関しては俺がどうこうできる問題じゃない。
俺は宝堂を隣のベッドに寝かせ、布団を掛けようとした。
だがその際、袖が捲り上がってたのに気づき、それを整えようとしたら…
「こりゃあ…」
左手首に無数の傷があるのを発見してしまった。
俺は静かに袖を直し、その手首が隠れるよう布団をかけた。
ただで引き込んだわけないとは思っていたが…
茜…
お前このことにも気づいて?
全く…
ホントお前は食えない奴だよ。
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