嵐のあと

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それにしても… 「コウ、泣くな。」 「だって…っ…茜が!茜がぁ…っ」 ガキじゃあるめぇし… って、ガキか。 「渚ちゃんまで…っ…倒れちゃうしぃ…っ…もう僕…どうしたらいいのか……」 ただ泣いてるわけじゃねぇってことか。 自分が何もできないことが悔しいのか… やっぱガキじゃねぇな。 「…手、握ってやれ。それならできるだろ?」 コウはハッとしたような表情を見せると、 「うんっ…!」 涙を拭ってそっと茜の手を握るのだった。 「くそ…こんなの…冗談じゃ済まされねぇぞ!」 いきなり昭斗が苛立ったように言い放った。 昭斗の白いカッターシャツには茜の血が滲んでいた。 「浜中の野郎…何考えてやがる!」 灯也「これで終わりだといいんですけど…」 「そんなわけあるか!こんなの挨拶という名の宣戦布告に決まってんだろ!」 浜中か… マズい奴に目ぇつけられちまってまぁ… なるほどな… そういうことならこの状況は理解できる。 リョウ「これが…挨拶…?これからどうなるの!?渚ちゃん女の子なのに!ひどいよ…」 まぁ今回のことは目撃者が多数いるだろうし、今まで目を瞑ってきた学園側もそれなりの対応はとるだろうが… それで黙って引き下がるような奴らじゃねぇ。 茜がダウンした今、指揮をとれる奴なんて… 遠くの方からドタドタという足音が響き、近づいてきたかと思うと、バンッとドアが開いて… 「生きてっかあぁぁぁ!?」 息を切らした汗だくの男が姿を現した。 「隆二先生!」 「待たせたな!」 乙夏隆二(おとなつりゅうじ)。 俺の弟であり医者である 。
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