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「隆二先生!茜が!」
「どれ……」
隆二は茜の傷の様子を目視しただけで何かに納得したように頷いた。
「茜…いい男に育ったなぁ。」
「…は?」
こいつ何言ってんだ。
「俺、女だったら確実に惚れてるわ。」
…………。
「あの~隆二クン?今はふざけてる場合じゃないと思うんだけど?」
「俺は断じてふざけてなどない!本気でそう思ってるんだ!」
相変わらずこいつと話すとイライラする。
「と、冗談はここまでにして。どっちにしてもここで処置するには限界がある。ここでは応急処置のみ、あとは病院に運ぶ。それでいいな?」
「でも…救急車は困るんだ!その…」
昭斗が焦るように割り込んだ。
しかし今は緊急事態だ。
そんな悠長なこと言ってられねーだろ…
「はぁ…全くどいつもこいつも我が儘だねぇ。分かったよ。ちっと高くつくが例のやつを使うか。」
アレか…
まぁこいつは坊ちゃまだから金の心配はいらねーだろう。
「じゃあとりあえず処置始めるからカーテン閉めるぞ。椎名さん手伝って下さい。」
「分かりました。」
茜の横たわるベッドはカーテンによって完璧に仕切られた。
あとは祈るしかない状況だ。
病院に連絡をとったかと思うと、持ってきた医療器具だろうか…
静かな保健室には十分過ぎるほど器具の音が響いた 。
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