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ここは隆二に任せるしかない。
今の俺にできるのは、少しでもこいつらの不安を取り除いてやることだ。
「安心しろ。ああ見えて隆二の腕は確かだからな。悪い方に考えると悪い方へ傾くってもんだ。助かってほしいと思うなら涙なんて流すべきじゃねぇだろう?」
コウの目線の高さまで屈みそう励ます。
「そう…だね…もう泣かない!」
コウは自分で涙を拭うと、強い眼差しを向け俺に誓った。
「茜は…絶対大丈夫だよ。絶対…大丈夫。」
ゴウがそっとコウの傍に寄り添うと、お互い手を握りしめ二人で無事を祈るのだった。
「っ…ごめん…!ちょっと…」
焦るような様子を見せたかと思うと、急に良平が飛び出していった。
「ん?今誰か出ていったのか?」
「あぁ、良平が」
「すぐに追いかけてくれ。」
「……?」
「たぶん発作だ。」
隆二が最後の言葉を言い終わらないうちに恭輔が飛び出していった。
「あいつ…!」
いつも隠すなって言ってんのに…
「昭斗!この場はお前に任せた!」
「お、おう!」
昭斗に強引に託すと、俺は良平を追いかけた。
*side...Ryo*
「…ゴホッゴホッ!ゴホッゴホッゴホッゴホッ!」
なんでいつもこんな大事な時に…
「ゲホッゴホッゴホッ…ゴホッゴホッゴホッ!」
なんか…いつもと違う…
「ゴホッゴホッゴホッゴホッ!!」
息が…できない…
「ゲホッゲホッゴホッゴホッ!!」
こんな…長い発作は初めて…
いつもは誤魔化せるぐらいの苦しさが誤魔化せないほど、本気で苦しいと感じた。
走ることも立っていることもできなくなり、その場にうずくまってしまう。
ふと頭によぎった。
限界の合図 。
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