分かち合い

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「渚!そんな暗い顔すんな。お前がそんな顔してたらリョウ達まで責任感じるだろ?誰のせいでもない。悪いのはあいつらなんだ。」 「津々丘くん…」 「その…津々丘くんってのもやめろよな?なんで心弥は心弥さんで茜は茜くんなのに俺だけ名字なんだよ。」 えっと… それは… 確かに! 言われて初めて気づいた。 無意識だったのだ。 コウ「アキが怖いからだよー!目つき悪いし!」 「なんだと!これは生まれつきなんだよ!」 「わぁ!アキが怒ったー!」 楽しそう。 そうだよね、これって差別だよね。 確かになんで名前で呼ばなかったんだろう。 いやちょっと待って。 ていうか普通は名字だよね? 茜くんのときははめられて強制的って感じだったけど… 心弥さんは最初から心弥さんだったなぁ。 みんな心弥心弥って言ってたしね。 津々丘くんの下の名前って確か… 『昭斗』 ゴウくん達はアキって呼んでるようだ。 お父さんの名前が『彬(あきら)』だからちょっと抵抗があったのかもしれない。 もちろん無意識で。 「まぁ『アキ』と呼べとは言わねぇけど…せめて『昭斗』って言えよな!」 「あ。アキが照れてる。」 「ゴ~ウ~!照れてねぇ!」 「照れてるじゃん。顔赤いよ?」 言葉の戦争を繰り広げながら逃げ回っている…というか上手く交わしてるゴウくんと、それを追い回す津々…昭斗くん。 それはまるでル○ンと銭○警部のようで。 その様子を笑いながら見てるコウくんとリョウくん。 そして少し困った顔で微笑んでいる心弥さん。 本当にこのクラスで… この学校でよかった。 心からそう思った。 お母さん… 私… 今すごく幸せみたい。
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