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どうしよう…
でも助けてもらったし。
やっぱりお礼は言わなきゃね、と思い向き直る。
「あの…」
「ん?あぁ。大丈夫だった?」
「あ、はい!大丈夫です。えっと、その…ありがとうございました!」
なんか無駄に緊張してるよ私。
暫くの間、私は深々と頭を下げたままであった。
だって…
さっきは暗くて見えなかったけど、この人…
すごく綺麗な人…
「いいよいいよ。この辺って昼間はわりと人も多くて安全なんだけど、夜になるとああいう輩とかが出回ってて危ないんだ。ここらじゃ結構有名な話だけど…君、この辺りじゃ見かけない娘だね。」
見かけないって…
じゃあ、あなたはこの辺りの人の顔を覚えているというのか?
でも妙に確信あり気である。
とりあえず事情を話すことにした。
「私、一週間前に引越してきて…明日から新しい学校なんです。」
今頃遅いけど…
本当に喋ってしまってよかったのだろうか。
まだこの人を信用したわけでもないし、安全が保証されたわけでもない。
ふと、昔お父さんがよく言っていた言葉を思い出した。
しかもこのタイミングに。
『イケメンは信用するな』
「そうだったんだ。どうりで…ちなみに学校聞いてもいいかな?」
「あ、はい…」
だから何でペラペラと喋るんだこの口は。
でもここまで来たら、もうどうでもよくなってきたのが本音だ。
お父さん何て言ってたかな。
確か…
あぁ、そうだ!
「はくちょう学園です!」
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