個性的な後輩たち

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「おぉー。今日はわりかし多いな。感心感心。」 呑気に教室に入ってきたのは担任である乙夏先生。 今日はちゃんと授業をやるのだろうか。 それともまた出席をとるだけとって麗子ちゃんの元へ行ってしまうのだろうか。 そんなことを考えているとドアが開く音がした。 「あ、茜先輩。おはようございます。」 「おはよう。」 歩くんが丁寧に彼に挨拶をした。 なんかホント… 変に気が重い。 元気なさそうだし… よく分からないけど… 気にしないでいつも通りの私でいればいいんだよね。 そう思うことにした。 ─… 先生は出席をとり終えると気が向いたように話し出した。 「んー。じゃあ今日は数学すっか。たまには授業しねぇとな。」 たまにはって。 突っ込みたくなったけどちょっと安心した。 だってテスト前だし。 「あんまりサボると麗子ちゃんに怒られるからなぁ。じゃあ23ページ開けー。」 結局理由はそれかい。 心の中で突っ込んだ。 あ、そういえばまだ教科書… 「せんせ」 「渚。」 あ… 茜くん… 「教科書まだないんだろ?見せてあげるよ。」 「あ、うん…ありがとう。」 話しかけられないだろうと勝手に思い込んでいたけど、容易く話しかけられたから驚いた。 でも、さらに気まずくなったのには変わりなかった 。
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