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*side...Kyo*
灯也は馬鹿だけど空気を読むことに関しては長けている。
天然の唯一の潜在能力なのかもしれない。
本人は無意識だろうけど、僕ら常識人側からしたらナイスなタイミングで言葉を放つ。
たとえそれがどんな言葉であったとしても、場の空気が変わることで次の物事への移行が楽になる。
特に今回、奇跡的にその能力が発揮され他のみんなも同じことを思っていたに違いない。
灯也ナイスタイミング、と。
宝堂先輩は明らかにリョウに対して敏感になっている。
僕らに心当たりがないところを見ると、それ以前にリョウの姿を目の当たりにしたのだろう。
「っ…はぁ…はぁっ……」
あの場を去り、みんなの姿が見えるか見えないくらいのところに来るとリョウの顔から笑みは消えた。
僕にはリョウが何故そんなに無茶ができるのか分からない─。
「馬鹿。」
「…うん。」
「馬鹿リョウ。」
「うん…ごめん……」
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