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俺はその言葉に吸い込まれるように尊先輩について行ったんだ。
この人に出逢わなかったら…
俺は…
ー…
「みんなー!新入部員だ!」
剣道場に着くなり、勢いよく扉を開け大声でそう罵った。
「ちょっと、俺まだ入るなんて一言も…」
「いや!」
否定したかと思うと次の瞬間…
「…お前は入るよ。絶対にな。」
何ともいえない表情でそう呟いた。
そしてまた俺の頭をぐしゃっと撫でた。
「…俺は小動物じゃ」
「俺には分かるんだ。」
本当に…
訳の分からない人だ。
ただ…
その瞳はまっすぐ俺をとらえていた。
そのときの俺はその程度にしか思ってなくて。
後々、この人が俺にとって…
とても…
とても大きな存在になろうとは思ってもみなかった。
「おぉ!尊よくやった!」
「やぁ~んカワイイ!!」
女の人の声がした。
「こら、水瀬(みなせ)。こいつには手出しさせねーぞ?」
「分かってるわよ!いちいちアンタうるさいのよ。」
「んだとコラ!上等だテメー!今すぐ竹刀持って構えやがれ!」
「あら、私とやるの?アンタその子の前で恥かいても知らないわよ?」
喧嘩?
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