“道”

4/11
前へ
/336ページ
次へ
俺はその言葉に吸い込まれるように尊先輩について行ったんだ。 この人に出逢わなかったら… 俺は… ー… 「みんなー!新入部員だ!」 剣道場に着くなり、勢いよく扉を開け大声でそう罵った。 「ちょっと、俺まだ入るなんて一言も…」 「いや!」 否定したかと思うと次の瞬間… 「…お前は入るよ。絶対にな。」 何ともいえない表情でそう呟いた。 そしてまた俺の頭をぐしゃっと撫でた。 「…俺は小動物じゃ」 「俺には分かるんだ。」 本当に… 訳の分からない人だ。 ただ… その瞳はまっすぐ俺をとらえていた。 そのときの俺はその程度にしか思ってなくて。 後々、この人が俺にとって… とても… とても大きな存在になろうとは思ってもみなかった。 「おぉ!尊よくやった!」 「やぁ~んカワイイ!!」 女の人の声がした。 「こら、水瀬(みなせ)。こいつには手出しさせねーぞ?」 「分かってるわよ!いちいちアンタうるさいのよ。」 「んだとコラ!上等だテメー!今すぐ竹刀持って構えやがれ!」 「あら、私とやるの?アンタその子の前で恥かいても知らないわよ?」 喧嘩?
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加