“道”

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「だから…」 「では早速胴着を揃えなければな!サイズがあるといいんだが…」 「2号っすかねー?」 「1号ぐらいじゃない?あったかしら…」 人の話を聞いちゃいない。 「まぁ、そんなに毛嫌いすんなって!もうお前は仲間なんだからよ。」 「………」 仲間なんて… 必要ない。 要らない。 「俺は…そんなの望んでないから。失礼します。」 「おい!待てって!おーい…」 俺は引き止める声を無視してその場を立ち去った。 ─… 「…お前より手強いかもな。」 「ハハ…そうっすね。」 「同じところで反応してたな。」 「まったくっすね。」 「大丈夫よ!…だってあの子、ちゃんとここへ来たじゃない。」 「…そうだな。」 俺が去った後こんな会話のやりとりがあったなんて… もちろん知るはずもなかった。 ─… 簡単に仲間なんて言うな。 その言葉に何度騙されてきたことか… もう… あんな思いをするのは二度と御免だ…… ─… そのときの俺は… 本当に人が… "人間"が大嫌いだった。 嘘をつくからだ。
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