“道”

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その夜の夕食─… おじさんは仕事が忙しいらしく最近は見ていない。 おじさんというのは心弥のお父さんだ。 おばさんは心弥が幼い頃に事故で他界したらしい。 だから普段は俺とコウ、それに心弥の三人で暮らしている。 「みんなすっごく優しくてね!花言葉とかいろいろ教えてもらったんだ!」 心弥「そうか、よかったねコウ。」 コウはそんな話をしながら嬉しそうに語っていた。 よかった。 あんなに嬉しそうに話すコウは久しぶりに見た。 当たり前のことが… いつの間にかできなくなってしまっていたから。 特に笑うことは… ─… 俺は… 笑い方を忘れてしまった。 どうやって笑うんだっけ… どういう時に笑うんだっけ… 俺はもう… "人間"には戻れないのかもしれない。 ー… 「ごちそうさま。」 「あ、ゴウ!」 「何?」 「水泳部どうだった?」 あぁ… 「イマイチかな。まぁ、まだ残ってるところはあるし気長にいくよ。」 パタン ─… 「…僕、余計なこと言った?」 「いや…特に…」 ─… なんか、もう… ダメだ俺… コンコンと部屋のドアがノックされる。 「入るよ。」 ガチャ 心弥…?
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