“道”

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「何…?」 心弥は何も言わず俺の目の前まで近づいてきた。 「水泳部じゃなくて本当は今日どこへ行ったんだい?」 え…なんで…… 「水泳部はまだプールでは活動してないはず。プール開きはまだ先だからね。」 時々、心弥が恐ろしくなる。 心の中を見透かされてるような… 心弥には適わない。 「知ってたんだ。…コウ毎日楽しそうでよかった。俺と2人だったときは泣いてばかりだったから。」 「ゴウ。君はそのコウにまで心配させて全くどうしようもない子だ。」 な… いきなり何… 「何だよそれ…別に俺はコウに迷惑かけた覚えは」 「気づいてすらないんだね。」 何だよコレ… 怒ってるの心弥? 俺は身を乗り出した。 「一体何なんだよ。意味分かんないし、もう、出てってよ。」 こんな喧嘩腰になるつもりなんてなかったのに… 抑えられない気持ちが確かにあった。 苛立ってるのか俺は… 「コウがどういう思いであんなに楽しそうに話していたのか考えなかったのかい?」 「は?」 どういう思いって… ただ単に華道部が楽しいってことを語っていただけじゃないか。 「本当に君は…自分のことばかり。人を見ていないんだね。」
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