第二章

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綺麗に掃除された廊下を僕と保護した少年と歩く。 少年は僕の左手を握りチョコチョコついてくる。 それにしても小さくないか? 僕は今身長が158センチある。 なのにこの少年は僕の肩より少し低い位しかない。 …歳はいくつなんだろう。 そんな事を考えながら歩いていれば、いつの間にか最奥まで来たらしい。 ボスの部屋に続くドアが目に入った。 「…入るよ。」 「はっ…はい。」 少年は怯えたような目を向けたが気にしない。 僕は軽くドアを叩いた。 「ボス。報告に来たんだ。」 「…入れ。」 了解の声を聞いてドアノブに手をかける。 ギギッとゆう重々しい音が響いた。 それに反応したのか少年はぎゅっと僕の左手を強く握った。 顔を見てみれば大きな目に溢れそうなほど涙を溜めて震えていた。 僕は小さくため息を吐いて震えている少年を抱き抱えた。 少年の体は柔らかく抱き心地がよかったが、驚くほど軽かった。 少年は驚いたのか目を見開いた。 が、直ぐに申し訳なさそうに両手で僕の胸を押してくる。 「僕、歩けます。」 「いいよ。別に。」 少年の抵抗を物ともせず僕は歩く。 「怖がらなくていいよ。嫌な事する奴は金をぶん取れば良い。」 何となく出て来た言葉。 普段の僕じゃ考えられない。 …僕にも良心があったんだ。 そんな考えが頭を過った。 うん。悪い気はしない。 「あっ…ありがとうございます!」 少年は初めて見せるような笑顔で言った。 内側から輝くような笑顔。 …うん。やっばい悪い気はしないね。 そんな事を思いながらボスの元へと進んだ。
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