第二章

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重々しい空気が漂う。 少年は僕の胸元で拳を握りながらボスを見つめる。 余程恐いのだろう。 握った拳が震えている。 ボスも殺気を収めれば良いのに。 「…報告。ターゲットは消したよ。この子が資料にあった保護対象に当たる子。」 「…ガキ、名前は。」 ボスの紅い目が少年を射抜く。 体をびくつかせ、少年は涙を溜める。 …そういえば僕も知らない。 一回も名前呼んでないや。 「…ガキ、もう一度聞く。名前は。」 「…あ……りま、せん。」 「何?」 「僕に名前、ありません。」 ボスも僕と同じ考えに至ったらしい。 「…何て呼ばれていた。」 「え?」 「実験室、いや。前のファミリーで何と呼ばれていた。」 少年は困ったように僕を見る。 …そんな顔されても何も出ないよ。 「…正直に言ってくれるかい?」 少年は一度俯いた後、何かを決意したように顔をあげた。 「№106。№106って呼ばれてました。」 ボスはほんの少しだけ口角を上げた。 「そのファミリーの名前は。」 「エストラーネオファミリー、です。」 僕はまた暗闇の中を走ってる。 ボンゴレ本部に向かって。 『おい。今から本部に行ってこい。』 『…南国果実の所かい?』 『あの3人以外の生存者について聞いてこい。』 『…御意。』 『…このガキは置いていけ。』 『…どうするんだい?』 『こうゆうのが好きそうなのが居るだろ。』 『ああ…ルッスーリアか…。』 その後すぐ僕は出発した。 あの少年をルッスーリアに見せたら気に入ってたようだし…。 南国果実とその仲間達に話聞いてサッさと帰ろう。 僕はとある屋敷のベランダに降りて、中にいる奴に声をかけた。 「要るんだろ?…沢田綱吉」
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