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重々しい空気が漂う。
少年は僕の胸元で拳を握りながらボスを見つめる。
余程恐いのだろう。
握った拳が震えている。
ボスも殺気を収めれば良いのに。
「…報告。ターゲットは消したよ。この子が資料にあった保護対象に当たる子。」
「…ガキ、名前は。」
ボスの紅い目が少年を射抜く。
体をびくつかせ、少年は涙を溜める。
…そういえば僕も知らない。
一回も名前呼んでないや。
「…ガキ、もう一度聞く。名前は。」
「…あ……りま、せん。」
「何?」
「僕に名前、ありません。」
ボスも僕と同じ考えに至ったらしい。
「…何て呼ばれていた。」
「え?」
「実験室、いや。前のファミリーで何と呼ばれていた。」
少年は困ったように僕を見る。
…そんな顔されても何も出ないよ。
「…正直に言ってくれるかい?」
少年は一度俯いた後、何かを決意したように顔をあげた。
「№106。№106って呼ばれてました。」
ボスはほんの少しだけ口角を上げた。
「そのファミリーの名前は。」
「エストラーネオファミリー、です。」
僕はまた暗闇の中を走ってる。
ボンゴレ本部に向かって。
『おい。今から本部に行ってこい。』
『…南国果実の所かい?』
『あの3人以外の生存者について聞いてこい。』
『…御意。』
『…このガキは置いていけ。』
『…どうするんだい?』
『こうゆうのが好きそうなのが居るだろ。』
『ああ…ルッスーリアか…。』
その後すぐ僕は出発した。
あの少年をルッスーリアに見せたら気に入ってたようだし…。
南国果実とその仲間達に話聞いてサッさと帰ろう。
僕はとある屋敷のベランダに降りて、中にいる奴に声をかけた。
「要るんだろ?…沢田綱吉」
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