第三章

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その頃、マフィア界では秘弾と呼ばれる銃弾がありました。 ボンゴレファミリーの死ぬ気弾やトマゾファミリーの嘆き弾等がそうです。 エストラーネオファミリーも、秘弾を造ってお金を集めようとしました。 そして、出来上がったのは憑依弾と呼ばれました。 しかし、その弾は人道をあまりにも外している弾だった為、禁弾として、マフィア界では忌み嫌われました。 やがて、エストラーネオファミリーは他のマフィアから迫害され、余計に秘弾への執着が強くなりました。 執着心はやがて復讐心に変わり、沢山の実験を行い、他のファミリーに負けない弾を造ろうとしました。 その為には造った弾を試す『モルモット』が必要です。 エストラーネオファミリーは考えました。 弾を試す為だけに、人を買うお金はありません。 だったら、自分のファミリーの子供を使えばいいのではないか。 そう考えたエストラーネオファミリーは、自分のファミリーの子供を使い、実験を行いました。 元々、復讐心で行った実験です。だったら、他のファミリーを潰せるだけの兵隊も一緒に作ればいいのではないか。 その様な考えも浮かびました。 この実験で、沢山の子供が啼きました。 この実験で、沢山の子供が叫びました。 この実験で、沢山の子供が死体に変わりました。 この実験で、一人の子供が生まれました。 しかし、その子供は何処かへ消えてしまいました。 エストラーネオファミリーが、たった一人の男の子に潰された日に。 跡形も無く、消えてしまいました。 その子は、綺麗な金色の髪と瞳を持った男の子だったそうです。 その子は、大きな獣の耳と尻尾を持った男の子だったそうです。 その子は、エストラーネオファミリーの玩具としてこの世界に生まれたんだそうです。 その子は、世界に絶望を感じて生きて来たんだそうです。 これは、昔々のお話です。 だけど、現在に続いているお話です。 その子は、まだ生きてます。 初めて知った人の優しさ 初めて知った人の暖かさ 初めて知った心の痛み その全てが、その子を大きくしていきます。 そして、今日も精一杯生きているのです。
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