167人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あの子は遺伝子単位で動物、獅子と組み合わされてるんだ。」
暗い部屋の中、僕は南国果実とその仲間達に聞いた事を話始める。
目の前にいるボスは無言のまま、視線だけで先を促す。
「城島犬の実験後、一々カートリッジを取り替える必要のない兵隊を造ろうとしたんだ。
死んだモルモットから脳細胞を取り出して、ライオンの細胞と合体せた。
何回か失敗後、成功したのがあの子。」
ふう。と一息吐いた。
「…でも、あの子が生まれた時、すごい暴れたんだって。結構な犠牲者が出たらしい。
そこで、科学者の一人が、幻覚作用のある首輪を作った。
その首輪のお陰で正気を取り戻した時、回りは血の海。それを自分で殺ったって言われたら従うしかなくなった。」
ギッと音がした。
ボスが椅子に寄り掛かった音。
軽い沈黙が流れた。
「…それで、あの容姿だ。溜まりに溜まった性欲を処理する玩具になったって事か。」
「うん。南国果実が施設を破壊した時、今回のターゲットに見つかったって所だね。」
僕は近くにあったソファに座った。
考える事はネロの事。
「…あの子、ネロはさ、首輪が取れると獅子になるんだ。」
「何?」
「金色の立派な獅子になるんだ。今回は命令された事をやり遂げたら気を失ってたね。」
「…何を命令されてた。」
「僕を殺せ。まぁ、ネロが殺したのは幻覚の僕だったけど。」
「ハッ。ヴァリアーの幹部がそんなモンに殺されたとなったら笑い者だな。」
「まあね。…これからネロはどうするんだい?」
「あ゛?んなモン好きにしろ。」
「…御意。じゃあこのまま屋敷に置いとくよ。」
僕の言葉にボスはニヤリと笑った。
「…珍しいじゃねえか。惚れたか?」
「…らしくないね、ボス。只の気紛れだよ。ルッスーリアやベルも気に入ってるみたいだし。置いといて損はないだろ。」
「…まあな。」
「じゃあ、僕は戻るよ。邪魔したね。」
「…後であのガキ連れてこい。可愛がってやる。」
「…考えておくよ。」
ヴン、と音がした。
次の瞬間、マーモンは消えていた。
「ハッ。しっかりハマってんじゃねえか。」
ザンザスの笑いをマーモンは知らない。
最初のコメントを投稿しよう!