第三章

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「…あの子は遺伝子単位で動物、獅子と組み合わされてるんだ。」 暗い部屋の中、僕は南国果実とその仲間達に聞いた事を話始める。 目の前にいるボスは無言のまま、視線だけで先を促す。 「城島犬の実験後、一々カートリッジを取り替える必要のない兵隊を造ろうとしたんだ。 死んだモルモットから脳細胞を取り出して、ライオンの細胞と合体せた。 何回か失敗後、成功したのがあの子。」 ふう。と一息吐いた。 「…でも、あの子が生まれた時、すごい暴れたんだって。結構な犠牲者が出たらしい。 そこで、科学者の一人が、幻覚作用のある首輪を作った。 その首輪のお陰で正気を取り戻した時、回りは血の海。それを自分で殺ったって言われたら従うしかなくなった。」 ギッと音がした。 ボスが椅子に寄り掛かった音。 軽い沈黙が流れた。 「…それで、あの容姿だ。溜まりに溜まった性欲を処理する玩具になったって事か。」 「うん。南国果実が施設を破壊した時、今回のターゲットに見つかったって所だね。」 僕は近くにあったソファに座った。 考える事はネロの事。 「…あの子、ネロはさ、首輪が取れると獅子になるんだ。」 「何?」 「金色の立派な獅子になるんだ。今回は命令された事をやり遂げたら気を失ってたね。」 「…何を命令されてた。」 「僕を殺せ。まぁ、ネロが殺したのは幻覚の僕だったけど。」 「ハッ。ヴァリアーの幹部がそんなモンに殺されたとなったら笑い者だな。」 「まあね。…これからネロはどうするんだい?」 「あ゛?んなモン好きにしろ。」 「…御意。じゃあこのまま屋敷に置いとくよ。」 僕の言葉にボスはニヤリと笑った。 「…珍しいじゃねえか。惚れたか?」 「…らしくないね、ボス。只の気紛れだよ。ルッスーリアやベルも気に入ってるみたいだし。置いといて損はないだろ。」 「…まあな。」 「じゃあ、僕は戻るよ。邪魔したね。」 「…後であのガキ連れてこい。可愛がってやる。」 「…考えておくよ。」 ヴン、と音がした。 次の瞬間、マーモンは消えていた。 「ハッ。しっかりハマってんじゃねえか。」 ザンザスの笑いをマーモンは知らない。
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