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白い、靄の中を歩いている。
これが夢だと分かるまでに時間はかからなかった。
一歩ずつ、柔らかな道を踏み締める。
体は何処かに向かっている。
僕は遠くからその光景を見ている。
…変な感じ。
不意に僕の体が止まった。
何処か一点を見つめている。
…誰かが、立っている?
その人の顔はこの靄のせいで霞んでいる。
それでも、その人が泣いている事だけは解った。
(貴方は…誰?)
「──は、───す。」
聞こえないよ。
何て言ったの?
「俺───、───す。」
その人…その男の人は
靄の中に溶けていった。
「俺達は、ずっと待ってます。」
ただ、一言を残して。
(誰?)
(貴方は誰?)
(何処か、懐かしい。)
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