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「アんラァ?スクアーロったら花なんかもってどうしちゃったの?」
玄関からルッスーリアがネグリジェ姿で出てきた。
仮にも暗殺者と呼ばれる集団の集まる屋敷。
きっと今此処に来てないとしても、殆んど、否。全員が目を覚ましているだろう。
「コイツ等が隠し持ってたんだぁ。…テメェ、花とか詳しかったなぁ?」
「乙女なら大抵の子が詳しいわよ!」
それならば、と死体の側から拾ってきた数本の花をルッスーリアへと押し付ける。その花は枝付の花だった為ルッスーリアは痛いじゃない、と声にしていたがそんなの知った事ではない。
「んもぅ!…あぁ、これ、椿ね。」
「ツバキ?」
「えぇ。ジャッポーネによく有る主に冬から春に掛けて咲く花よ。白いから花言葉は<申し分無い魅力>ね。ただ、この花は散る時に萼から落ちるから…首が落ちる花として、敬遠される事もあるわね。」
「…コイツ等が隠し持ってた、何か意味があったのかぁ?」
ルッスーリアはツバキの花弁に付いた血を振り落とすかのように花ごと腕を振るう。
その風圧に耐えられず、花ポトリと地面へと堕ちていった。
「…知らないわ、意味なんか。ただ、襲撃してきたこの子達はきっと様子見。…なにかしらありそうね。」
愉しそうに。
ルッスーリアは口許を吊り上げていた。
東の空は血を流し込んだかのように紅く染まり、朝の訪れを知らす。
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