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「やった~、合格だ」
合格通知を握りしめ、俺は思わず絶叫してしまった。
俺が受験したのは、私立祥華学園男子高等部。
県内一の進学率を誇る、有名私立高校。
この高校を受験する為だけに、俺はこの1年間猛勉強をしたんだ。
理由は単純。
1つ上の兄さんが、この学校に通っているから。
昔は何をしても笑ってくれていたのに、兄さんが中学生になった頃から、会話も少なくなり、今では必要最低限の事しか話さなくなっていた。
そんな状況を変えたくて、同じ高校を受験したんだけど、兄さんは喜んでくれるかな?
俺の名前は田沢瑞希。
今はまだ、中学3年生。
父さんの海外赴任に伴って、母さんも一緒に行っちゃったから、今は俺と、兄さんの二人暮らし。
昼間は家政婦さんが来てくれるけど、夜と土日は兄さんと二人だけ。
今日は土曜日だから、家政婦さんは来ない。
兄さんも出掛けてるし…。
誰も居ないリビングのソファーに腰かけて、俺は大きくため息をついた。
一戸建てのこの家の中で一人で居ると、シンとしていてとても静かだ。
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