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俺を優しく抱きしめてくれる腕。
そして向けられる穏やかな笑み。
それらを重く感じ始めたのはいつからだろう…。
優しさも微笑みも、そして、束縛さえも息苦しい。
そう思った時、俺はあの人から逃げ出した。
通帳にキャッシュカード、財布と身の周りの服を小さなボストンバッグに詰め、書き置きさえ残さず、俺はあの人と暮らすマンションを飛び出した。
これで良かったはずなのに、寂しさに襲われるのは何故だ？
あれから１年が経とうとしているのに、気付けばあの人によく似た奴を目で追っている。
こんな離れた場所に、あの人が居るはずなんてないのに、俺って馬鹿だよな。
こんなにも離れてしまってから、本当に大切なモノに気がつくなんて…
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