7/19
前へ
/41ページ
次へ
「話しがある。車に乗ってくれないか」 強引な所は、1年経った今でも変わらないらしい。 どうせ、ここで拒んだって引き下がるような人じゃないし…。 ちゃんと決着つけなきゃいけないよな。 「分かったよ。だけど雅隆さんお酒飲んでるよね?」 雅隆さんに飲酒運転をさせるぐらいなら、俺のアパートに上がってもらおうか? 家もバレてるし、今さら部屋に上げたところで、何の問題もない。 「心配ない。坂城に運転を頼んでいる」 「坂城さん?」 聞きなれない名前に、思わず問い返してしまった。 「俺の秘書だ。とにかく、車に乗れ」 半ば強引に、俺は後部座席に押し込められてしまった。 「俺のマンションに行ってくれ」 俺の隣に座った雅隆さんが、坂城さんに指示を出す。 行き先を聞いた俺の、身体が強ばるのが分かる。 出来ることなら、あの場所だけは避けたかった。 そんな俺の心情なんて、雅隆さんはとっくに見抜いているはずだ。 分かっていて、敢えて選んだんだろうな。 雅隆さんはそういう人だから。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

659人が本棚に入れています
本棚に追加