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「話しがある。車に乗ってくれないか」
強引な所は、1年経った今でも変わらないらしい。
どうせ、ここで拒んだって引き下がるような人じゃないし…。
ちゃんと決着つけなきゃいけないよな。
「分かったよ。だけど雅隆さんお酒飲んでるよね?」
雅隆さんに飲酒運転をさせるぐらいなら、俺のアパートに上がってもらおうか?
家もバレてるし、今さら部屋に上げたところで、何の問題もない。
「心配ない。坂城に運転を頼んでいる」
「坂城さん?」
聞きなれない名前に、思わず問い返してしまった。
「俺の秘書だ。とにかく、車に乗れ」
半ば強引に、俺は後部座席に押し込められてしまった。
「俺のマンションに行ってくれ」
俺の隣に座った雅隆さんが、坂城さんに指示を出す。
行き先を聞いた俺の、身体が強ばるのが分かる。
出来ることなら、あの場所だけは避けたかった。
そんな俺の心情なんて、雅隆さんはとっくに見抜いているはずだ。
分かっていて、敢えて選んだんだろうな。
雅隆さんはそういう人だから。
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