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―最果ての町―
『…………。』
無言で歩く青年に兵士は歩み寄る…。
振り上げた鋭い刃をつけた剣を青年の頭上を目掛けて兵は力いっぱい振り下ろした…。
ブンッ…―――。
空中に舞ったのは虚しい空振りの音だけ…。
急遽目の前から消え失せた青年に戸惑い兵士は焦りながら周りを見渡すと後ろに気配を感じる…。
慌てて振り返り剣を構える兵士であるが青年はそんな姿にも動じず、ようやくその重く閉ざされた口を開く…。
『……あなたは僕の敵ですか?』
その質問を聞くや兵士は高笑いを始める。
兵士は気付いたのだ…。目の前にいる青年が目が見えないことを…。
安堵の表情を浮かべた兵は叫びと共に青年に切りかかる…。
――敵に決まっているだろうがぁ!!!――
だが、戦いは一瞬で終わる事となる…。
青年は“瞳を開いた”のだ…。
まるで血に染まった様な真っ赤な瞳を……。
―――ビシュッ…。
その瞳を見た兵士は自らの剣で自らの心臓を突き刺した…。
………。
……。
…。
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