それから10年…

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恋人時代は、多く好きになった方の負け。浮気で心から血を流す思いをしても、別れられなかった…。馬鹿な女だな。損な女だな。その程度の認識だった。柊の本当の怖さを私は知らずに自分の馬鹿さ加減に呆れながら、10年の付き合いに終止符を打った。勿論、憧れの結婚である。でも、最後の最後まで、好きと言う気持ちとこの人でいいのだろうか?って、疑問符が頭を駆け巡っていたある日、突然の吐き気に教われた…えっ?何?こんな感覚を私は知らないと。そして、急に自分のお腹に赤ちゃんがいる強い確信が生まれると同時に結婚が現実へと変わって行った。結婚式…ずっと憧れていた。ただ、ただ幸せな新郎新婦にウエディングドレス。でも、それは儚く消えてしまった。何故なら、柊から初めて、暴力を受けたのだ。 「お前なんかと結婚なんて、信じられない!」 その瞬間にお腹を何発も蹴られた。夜の街中だった。ネオンの光の渦と客待ちのタクシーの何処までも連なるテールランプの赤…それとも私の血の色?私は痛みに顔を歪めながら、人々のザワメキの中倒れてしまった。お腹が痛い!駆け寄る人々の中、平然と遠ざかって行く柊…。誰かが救急車を呼んでくれる中、取り残される私と痛み。信じられない…柊何処へ行くの?この人混みは何?私の痛みとこの嫌な血はなに?柊…柊!それでも、戻って来ると信じていた。それに何故こんな事になるのか、頭が働かない。気が付けば救急車の中で名前を聞かれていた…。
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