それから10年…

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私は結局流産をした。私の知らない赤ちゃん、ごめんね。柊どうして。一抹の不安を抱えて結婚式。 私は初めから遅刻してきた柊に怒りを覚えていた。そう、この時まで、確かに感情を持っていたのに。いつの間にか洗脳され、暴力や罵りを浴びるのは私が悪いからだと洗脳されていた。結婚式も柊の友達が歌う唯のカラオケ大会だったし、雛壇にはいつも、一人っきりの花嫁の私がいるばかりだった。二次会は男だけでの同窓会と化していた。一番幸せなはずの花嫁は一番邪魔な存在だった。私は、何をしてるんだろう⁉新居の広いマンションで、ただ、ポツンとしている自分が情けなくなった。愛されてる訳ではないらしい…。なら、何で結婚したの?信じられないくらい、冷たい月だったのを覚えている。
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