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「居候ね……。僕に異論はないケドさ。生活費とか大丈夫なの?部屋だってないし」
彼女から視線を外し、環に向き直る。答えは極めて簡潔なものだった
「あいつの残した遺産と保険、合わせるとかなりの額なのよ。それがそっくりそのまま千晶ちゃんに以下略」
以下略って何さ。何となく解るからいいけど……こらそこ、さっすが親子なんて目を輝かせるな、気色悪い
「……じゃあ、部屋は僕の部屋を使えばいいよ。僕なら居間のソファーで寝るし」
「そんな、何から何まで悪いです!
私が居間で寝かせていただきますッ」
「……あんたら、一緒に寝れば?」
吉野さんがボソッと呟く。いや待て待て、それは何か間違ってる気がする
兄妹じゃあるまいし、若い男女が部屋を共有するなんて道理に反してると思うね
「あら?これから兄妹になるんじゃない」
兄妹とは言え、僕が一時の衝動で過ちを犯すかもしれないじゃないか
「居間で寝かすよりマシだわ。あんたなら自制心保つくらい容易いもんでしょ」
「ぐっ……」
逆転の発想。これには反論出来ない
しかし、この奇抜な発想に、まさかの人物がいち早く反応した
「あああ、あたしそれでもいいですッ!
彼と同じ部屋で構いません!!」
耳たぶまで真っ赤に染めながら
いわゆる爆弾発言
「「「えぇぇぇえぇえぇぇぇ!!!!!!!」」」
三人の声が綺麗に重なる。提案した本人まで驚かないでください
「さ、賛成するとは思わなかったんだもん」
吉野さん、顔が笑ってます
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