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「カメちゃんなんか嫌いだよ」
振り返ればリュウタが泣きそうになって立っていた
「何?突然」
「僕にも本当の事いってくれないカメちゃんなんか大嫌い」
「本当の事?いつもいってるじゃない?」
「いってないよ!!!!」
あぁ、始まってしまった
リュウタは機嫌が悪くなると暫くは戻らない
「ちょっと落ち着いて?何でそんな事………」
腕を掴めばぐい、と無理矢理引き寄せて抱きしめる
「アイツがいってた…カメちゃんは本当は僕の事嫌いだって…カメちゃんは嘘つきだからって………」
最後にはぐすぐすと泣きだす始末。
「アイツ?僕ちゃん?」
下を向いたままふるふると頭を横にふると小さく思いもよらない名前が聞こえた
“…………カイ”
ピク、と顔が引き攣ったのがわかった
………あぁ、やっぱりアイツはもっと先に排除すべきだった。
例えイマジンが……僕らが消えたとしても。
消えるとしても僕らは最後まで一緒にいて…消える事ができる
でも、アイツは一人だ
残念だね、リュウタは君の物にはならないよ
大好きだよリュウタ。
ずっと一緒にいる
“ずっと一緒”
初めての、リュウタへの嘘
でも、許して。
良太郎、ごめんね
僕は大きな嘘をついて皆を裏切るけど……
それは決して嫌いだからじゃない
大好きな子を守りたいからなんだ
大好き、は嘘じゃない
嘘じゃないんだ
だから、泣かないで
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