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『おはようございます』
鏡に向かって声をだす。部屋に響いた。鏡でスーツのほつれがないかを確認して、ネクタイを締め直した。それから水を飲んで、鞄を持って家を出た。
俺は今日から高校教師になる。新学期だから、まず生徒にお披露目になるのは新任式の時。車に乗り込んで、学校に向かった。
生徒が来る時間よりも一時間早い出勤。学校は閑散としていて、車が結構止まっていた。職員のか。俺は深呼吸して職員玄関から中に入った。
『おはようございます』
家で練習した時と同じ位うまく声が通った。職員はみんな俺に挨拶を返してくれて、みんな優しそうな人だった。安堵の溜め息をつく。俺に教頭が話しかけてきた。
『おはようございます、上原先生。上原先生の席はあの窓際になります。三年部の方々もあちらですので』
そう言われて、俺は席に移動すると何も置かれていない席が一つあった。
『おはようございます。三年C組の担任の武田明子です』
隣は国語の先生だった。
俺は三年部の先生に一通り挨拶を済ませて席に着いた。
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