月夜に唄えば -ある男の章-

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************ 「見てくださいよ!!ジギィさん!!!レイブンが話し始めたんですっ」 写真をヒラヒラ揺らしながら、スリナムが研究室に飛び込んできた。 彼の子供・・・二卵性双生児の子供達は、元気に育っている。 妻のルネッサも、産後の状態も安定しており、元気だ。 「喋ったって・・・まだ一ヶ月でしょう」 「いいや!!喋りましたよ。確かに!!!“パァパ”って言ったんです!!!」 赤子が偶然口にした言葉だとは思うが、スリナムのはしゃぎ様に、ジギィは苦笑した。 きっと、本当に嬉しかったのだろう。 「あの子はもしかしたら、天才なのかもしれないっ」 非常に興奮している。 「レイブン様だけに構うと、レイネ様がぐれてしまいますよ」 資料をトントンと整えながら、言うと、スリナムがハッと目を見開いた。 「そ、それはダメです!!!それに、レイネはきっとのんびり屋さんなだけですから」 慌てて弁解するスリナムに、ジギィは今度こそ声を上げて笑った。 平和な時が、穏やかに過ぎていく。 この時には、もう・・・スリナムとジギィは、階級や20歳以上の年の差をも乗り越え、深い友情を育んでいた。 互いに守るべき者がいるからだろうか。
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