月夜に唄えば -ある男の章-

14/21
前へ
/21ページ
次へ
いわゆる、実験台を探しだし、生物兵器を打ち込むのを仕事にしている。 男の名前は・・・ケイオス。 誇り高き“ナイルス”の家紋を守る大貴族だ。 プライドが高い彼は、自分よりも階級の低い男が、自分よりも高い支持を集めている事が気に食わないのだろう。 それに、スリナムは彼の幼なじみで・・・彼にとっては、唯一の友人で。 けれど、スリナムは、ジギィを慕い、二人は今、ほとんど疎遠状態にある。 そのケイオスのほの暗い思いを、ジギィもスリナムも全く知らなかった。 それが・・・その、小さなささくれから生まれた擦れ違いが、ある悲しい“物語”を生み出す事を・・・二人はまだ知らないーーーーーーーーー・・・ ************** 「ほぉら、レイブン、レイネ。ジギィおじさんだよ」 美しい金髪と銀髪が眩しい。 スリナム様よりは、奥方のルネッサ様に似ている様に思う。 紅い、ルビーの様な瞳が愛らしい。 髪の色こそ違えど、顔はうりふたつ。 二卵性と聞いた時は、驚いたものだ。だから、遺伝子というものはわからない。 「おじさんというより、私の年では、もうおじいさんですよ、スリナム様」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

817人が本棚に入れています
本棚に追加