月夜に唄えば -ある男の章-

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眠気眼で私を見上げる子供達を見て微笑む。 いくつになっても、赤子を見ると自然と笑顔になるものだ。 白く、穢れを知らない無垢で無邪気な笑顔。 暖かい。 「嫌ですわ、ジギィ様。おじいさんだなんて。まだそんなにお若いのに」 ニコッと、花の様に笑って、ルネッサ様が金髪の赤子を・・・レイネ様を抱き上げられた。 母親に抱かれて嬉しいのか、レイネ様が手足をばたつかせ、笑い声を上げる。 「“ジギィ”で結構ですよ、ルネッサ様」 聞けば、ルネッサ様も、スリナム様程ではないが高い身分の出らしい。 当然か。 貴族会の長の家系に嫁入りする程だ。 高い身分でなければ、そんな事は不可能。 「この子達に、素敵な名前をいただいたというのに・・・お礼も言えなくて。この場を借りて、心からお礼を申しますわ。ジギィ様・・・いえ、ジギィさん・・・本当にありがとうございました」 鞠が弾む様な声だと、どこか遠くで思う。 こんな美しい声で歌でも歌えば・・・きっと、素敵な歌になるだろう。 「いえ、そんな!!・・・私などがおこがましい事をしてしまって」 「素敵な名前ですわ。この子達も、きっと、この名を誇りに思う事でしょう」 夫婦そろって、私の中の貴族像からは掛け離れている。
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