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だが、だからこそ・・・とても暖かい。
暖かく、優しいこの家で育つ・・・だからきっと、この子供達も、幸せで暖かい人生を送ってくれるに違いない。
そう思わせてくれる優しさが、ここにはあった。
「ジギィさんにも、お嬢さんがいらっしゃるんだよ、ルネッサ」
「まぁ!!それじゃあ、今度いらっしゃる時は、ぜひ娘さんもご一緒に」
娘は、もう成人し、先月の頭に恋仲の男性がいるのだと手紙が来た。
文面から、彼への思いが滲み出していて・・・柄にもなく、憤った。
その男性に娘を取られた事に対してだろうか?
それとも・・・娘がそんなに愛している男性に、会って、「娘を頼む」という言葉一つ言ってやれない自分の立場に対してか?
もしかしたら・・・そのどちらも、かもしれない。
「娘もきっと喜びます」
私が笑うと、抱いていたレイブン様が小さな声で笑った。
楽しげに私のヒゲをもてあそんでいる。
柔らかく、傷を知らない肌。
きっと、彼も私の娘の様にあっという間に大人になって、この家を巣立つだろう。
いや、それはレイネ様の方か。
レイブン様は、貴族会長の“ケルト”の名を受け継がれるのだ。
見れば見る程、聡明な瞳をしている。
モノを、曇りのない真っ直ぐな瞳で見るのは、両親と一緒だ。
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