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「そうですね。僕も・・・そう思います」
スリナム達が、この研究所に来たあの日から、もう三年の月日がたった。
だが、研究はほとんど進展していない。
大切な人を守りたい・・・
そう思って、スリナムもジギィもここにいる。
だから、ちっとも進まない研究に、微かながら焦りを感じていた。
そんな時・・・である。
「スリナム様!!大変でございます!!!ルネッサ様が・・・」
突然ドアを叩き開けたのは、スリナムの従者。
ジギィより階級が上の“タバサ”の男だ。
ルネッサ・・・という言葉に、スリナムが立ち上がる。
ジギィも眉を寄せた。
確か、ルネッサとは、スリナムが愛する女の名だ・・・と記憶していたからだ。
「今朝早くに・・・お倒れになったと・・・」
言うが早いか、スリナムは駆け出した。
それにジギィも続く。
妻を失う悲しみは、ジギィが誰よりもよく知っている。
「ジ、ジギィさんっ」
それに気付いたスリナムが驚いた様に目を向けた。
「私も行きます。行かせて下さい」
泣きそうな顔をしたスリナムの瞳を、真っ直ぐに見詰める。
そのジギィの瞳に力を感じたのか、スリナムはグッと涙を拭き、力強くうなずいた。
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