315人が本棚に入れています
本棚に追加
正直、否定はできない。
結びかけの弁当袋の端はガタガタだし、箸を収めた箸箱は、あからさまに袋から飛び出している。
しかし、彼女はそれすら気にしない。
「包めればいーのよ、包めれば」
という感じがポリシーなので、そんな細かいことまで気にしないのだ。
「はぁ~っ……何か病むなぁ」
「何で?」
食後の紅茶をズズーッと吸いながら、弥生が尋ねた。
彼女は紅茶は、ストレートの方が好きらしい。
ちなみに柚乃は紅茶は嫌いだ。
お茶が甘いだなんて、彼女は納得できないのだ。
「うんー……なんか何もかも。そういう時ってない?」
机に突っ伏して、腕の中に顔を埋めながら、柚乃は弥生を見上げた。
「あぁー…ね。何か分からなくもないかな。
ヒマなのは平和でいいけど、あんまり何もなさすぎると退屈よね」
「うん……」
「そうしてると、何故か無性に悲しくなるよねー。
人って平和を通りすぎると、退屈になって、退屈を通りすぎると、今度は嫌になるんだわ」
「そうなんだよねぇ~。本当、人間ってゼイタク」
「しょうがないわよ。だって、本当にヒマなんだもん。
高校生って、もっと楽しいもんだと思ってた」
最初のコメントを投稿しよう!