Vol.1

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  最後の方は、まるで独り言のように吐き捨てて、弥生は黙り込んだ。 そうして、赤い花のコサージュがついたカバンを、机の横から取り、その中をあさって雑誌を取りだす。 普通の女性向けファッション雑誌。 怖いくらい細すぎる美女達が、可愛らしく微笑んで、ポーズを決めている。 弥生は、それを無造作にパラパラとめくりながら、誌面に目を移した。 残された柚乃は退屈だが、こんなのはいつものことだ。 彼女たちは、お互いを縛り合うような友好関係じゃない。 というより、そんな友情しか友情と認められないのなら、柚乃は友達などいらない気さえする。 馴れ合う事だけが、友情じゃない。 かばい合う相手だけが、理解者じゃない。 空気のようにいつもいて、お互いのプライバシーは個人として守り抜く。 相手も自分も、それを理解した上で、こうして一緒にいるのだ。 けれど──…。  あたしは、弥生といる時は安心できる……。 こうして、ただ向かい合っているだけでも、安心できる何かを二人は持っている。 それこそが、柚乃と弥生の友情であり、自分をさらけ出せる要素であるのだ。  
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