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派手な色の髪をクルクルと指に絡め、スカートを「これでもか」というくらい短くしている女子……。
近づくと、香水の匂いと化粧の匂いで気分が悪くなりそうだ。
そんな女たちが、いつも向の周りに張り付いて、ハイエナの如く目を光らせているので、
一般女子……俗に言う「地味系女子」は、彼に近寄ることすらできない。
柚乃は、別に地味系に所属しているつもりはないが、クラスに派手すぎるグループがいた場合、自然とそういう立場にならざるを得ない。
「はぁーあっ。どうしよっか?
もうサボっちゃう?」
イタズラっぽく肩をすくめて、向は柚乃を横目で見た。
笑うと口元が「にひっ」といった感じに上がるのが、何とも愛らしい。
たまらん……。
柚乃は胸の動悸を押さえながら
「あはっ。うん。もう、そうしよっか」
と笑顔で言った。
「ハハッ。だなー」
明るい声と笑顔で向は笑うと、柚乃の座っていた机の、前の席の椅子を引いた。
ストンッと、軽やかに椅子に腰かける向。
そして後ろを向いて、柚乃の座る机に肘をついた。
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