Vol.1

11/22
前へ
/370ページ
次へ
  派手な色の髪をクルクルと指に絡め、スカートを「これでもか」というくらい短くしている女子……。 近づくと、香水の匂いと化粧の匂いで気分が悪くなりそうだ。 そんな女たちが、いつも向の周りに張り付いて、ハイエナの如く目を光らせているので、 一般女子……俗に言う「地味系女子」は、彼に近寄ることすらできない。 柚乃は、別に地味系に所属しているつもりはないが、クラスに派手すぎるグループがいた場合、自然とそういう立場にならざるを得ない。 「はぁーあっ。どうしよっか? もうサボっちゃう?」 イタズラっぽく肩をすくめて、向は柚乃を横目で見た。 笑うと口元が「にひっ」といった感じに上がるのが、何とも愛らしい。  たまらん……。 柚乃は胸の動悸を押さえながら 「あはっ。うん。もう、そうしよっか」 と笑顔で言った。 「ハハッ。だなー」 明るい声と笑顔で向は笑うと、柚乃の座っていた机の、前の席の椅子を引いた。 ストンッと、軽やかに椅子に腰かける向。 そして後ろを向いて、柚乃の座る机に肘をついた。  
/370ページ

最初のコメントを投稿しよう!

315人が本棚に入れています
本棚に追加