Vol.1

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  その一挙一動が、噂のとおり爽やかで明るくて可愛くて、柚乃は恥ずかしい気分になる。  あ、あたし、向くんとこんな話してていいのかなぁ……。 少しうつ向いて、気まずそうに視線を泳がす柚乃。 そんな柚乃を見て、向が不思議そうに言った。 「どしたの、伊藤さん? 何かおとなしくなったねぇ」 「へ!?そう?」 「うん。何か具合悪い?」 そう言うと向は、柚乃の方に手を伸ばした。 「……っ…?」 何をするのかと思って、少し身を固くしていたら、彼は柚乃の前髪を割って、彼女のおでこに手を置いた。 「………?」 突然、少し低体温な冷たい手のひらが触れて、柚乃は怯んだ。 「あー……ちょっと熱いかな? 大丈夫?」 逆の手で、自分のおでこを触り、彼は柚乃の熱を測る。 「あははっ……、何か家出る前、ちょっとダルかったんだよねー」 横の髪を指で軽く上げ、柚乃は平静を装って笑った。 向は、「ふぅーん」と言って、柚乃の額から手を離す。 「ダメだよ、伊藤さん。 体調悪い時にはムリしちゃ」 少し怒ったように口を尖らせ、上目使いに向は言った。  
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