なぎさのかぜ

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なぎさのかぜ

「あーべ。おぃあーべ!」 「あ、」 欝陶しい声に意識を引き戻される。 前を見れば先生はもういなくて日直が黒板を綺麗にしているところだった。 (ヤベ板書……) 慌ててノートへ目をやると、殴り書きでしっかりノートは埋まっていた。 「阿部ホントどうかした?」 ホントにどうかしてるのかもしれない。 ちゃんとノートとってるなんて。 「いや、なんでもねぇ」 「説得力がないよー?あ、さては恋でもした?」 どうしてコイツはすぐそーゆー事に結び付けるのだろう。 頭はカラッポだが、好きな奴とかそんな類の回転は馬鹿みたいに早い。 「もーなんでこの学校って共学じゃないんだろーね? 男だらけでむさ苦しいったらありゃしない 彼女ほしぃーなぁー」 「おい。そんな事大声で言ってっと後悔するぞ?」 「なぁんで?」 馬鹿だけど、 救いようのない馬鹿だけど顔は良い方だと思う。 そこ以上の良いトコはないだろう。 「水谷おまえ、自分が結構モテてんの知らねぇの?」 「え、マヂで!!?どこの子?かわいい?子悪魔系?」 「どちらかといえばラスボス系」 「ラスボス……年いってるのか。いや、俺は年上でも全然イケるぜ!」 「んーそうかそうか。じゃぁ体育館横へ行ってみろ」 全部言い切る前にアイツは教室を物凄い早さで出ていった。 元気でな水谷。 レスリング部のオカマどもはお前が大のお気に入り だそうだ。
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