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「……葵様、ちなみに今日のおやつは何だったんですか?」
「カス巻きだ」
「…………」
葵は手に持った鞄を机に置くと、脇にあるベッドへと転がる。
そして仰向けになると、右手を腹の上に置き、左手で何も無い空間を指差した。
「オープン」
言葉と同時に何も無かった空間に光が灯る。
それは瞬時に広がり、半透明の“モニター”が出現した。
「カス巻きならカス巻きって早く言って下さい! それは黒餡ですか!?」
叫び声が響くと同時に、モニターの右端から人影が飛び出した。
薄い紫色の髪がフワリと揺れ、不安そうな顔をした少女が現れる。
身長は15センチくらいだろうか。白を基調にした服を着ているため、一見は清楚な感じである。
フリルの付いた膝上までのスカートが印象的で、そこから伸びる白い脚は黒いニーソックスに隠れて大腿部しか見えない。
「黒餡だ」
冷たく言い放つ葵。
対するライラは、頬を膨らませて不機嫌さをアピールする。
「この外道が……葵様がそんな意地悪するなら、私今日は部屋に帰らせていただきます!」
そう言って、ライラは画面の端から消えた。
「あっ!」
が次の瞬間、何かを思いついたのか、画面に映っていないライラの声が不意に響く。
そして、葵の顔色を伺うようにして、ライラは画面の端から顔を覗かせた。
「どうした?」
ライラの不思議な行動を疑問に思った葵は、画面端に現れた彼女に聞いた。
「あの、実はお話があってですね……」
ライラは改まった様子で話を続ける。
モジモジしながら躊躇う姿から考えるに余程の事なのだろう。
「どうしたんだ? まさか、前に余分にやってたおやつを全部食べてしまったとか……じゃないよな?」
葵の言葉にピクッと反応するライラ。
「あの、それもあるんですけど……」
“それもある”というのは少々引っ掛かるが、それよりも話の続きが気になる。
「じ、実はですね……あの、友達が、出来たんです」
「はぁ?」
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