えぴそぉど Ⅰ

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受付終了時刻となった 俺はさっさと帰り支度をする 受験者のチェック表を丸めていく あれ? 一人来てない 189番 風邪でもひいたかね~ こんなに寒いし ついてないやつもいるなぁ~ 俺はあまり気に止めずチェック表を丸めて、担当の先生に持って行こうとした 「ず、ずみまぜん」 ふいにしゃがれた女の子の声がした 俺は驚いて振り返る 肩くらいまである髪の毛をふたつにくくり、マスクをした小さな女の子 「じげん、受けにぎだんでずげど、まだ、間に合いまずが」 女の子はマスクの下から可哀想なくらいのガラガラ声で必死に喋る 「…あ~、189番さん?」 俺は思い出したように女の子にきいた 「ぞうでず」 「あぁいいよ、あ、でももう始まるな…俺についておいで」 俺は女の子の手を引き、教室まで案内した 「ありがどうございましだ」 そう言って女の子はニコリと笑って教室へ入っていった ふう、一段落 ……あれ? 俺はふと、廊下に何かが落ちているのに気がついた ホッカイロが落ちている 俺はホッカイロを拾い上げた ゆかり とホッカイロに名前が書いている ホッカイロにも名前書くなんて、どんだけ几帳面な人なんだろ 俺はフフっと笑い、担当の先生に渡すものを渡して帰った
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