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苛立ちからか、真子はまた無意識に誠也の服のスソを強く握りしめていた
しかし、そこいらの高校生よりも確実に数段大人っぽい真子は、大学生の誠也と立派にカップルに見える
誠也の服のスソを持つ真子の姿を健太はこの世の終わりのような顔をして見つめていた
しかし、健太のそんな表情なんかに真子は全く気がつかなかった
この重苦しい沈黙は、時間にしてみれば10秒程度だっただろうが、30分立ち尽くしていたような感覚だった
この沈黙を破ったのは健太の隣にいる小柄な女の子だった
「…誠也さん?」
真子はビックリして誠也を見た
誠也も突然呼ばれて驚いている
「確か…サッカーサークルの」
誠也は口をパカッと開けたまま、目をパチクリしていたが突然「あ!」と叫んだ
「このあいだのマネージャー募集で来てくれた人?」
小柄な女の子は笑ってコクリとうなずいた
どうやら話が通じ合ったようである
話に置いていかれた真子と健太は偶然の出会いを喜んでいる二人をポカンと見つめていた
「健ちゃん、私がこのあいだ入ったサッカーサークルのキャプテンさんだよ」
女の子が無邪気に健太に話しかけた
健ちゃん!?
真子は思わず吹き出しそうになった
そんな真子に気付いた健太が慌てて女の子に恥ずかしそうに小声で言った
「姉ちゃん、健ちゃんて呼ぶなって」
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