えぴそぉど Ⅰ

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「あ、そうだ、コレって君の?」 俺はポケットから名前つきホッカイロを取り出し、女の子に差し出した 女の子はビックリして受け取る 「…私のです」 そう言って、プッと笑った 「一週間前のホッカイロなんか、普通捨てますよ」 女の子はクスクスと口に手を当てて笑う ドキン… ドキン… 胸の高鳴りが止まない この子の笑う顔、仕草、声…全てに心を奪われてしまう まるで天使が舞い降りたようだ 「……電車、乗らないんですか?」 気がつくと女の子は電車に乗り込み、俺を心配そうに見つめていた プルルルルルル 発車のベルが鳴り響く 「の、乗ります乗ります!」 俺は慌てて電車に駆け込んだ 『駆け込み乗車はお気をつけください…』 駅にアナウンスが響き渡り、電車が発車した
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