二話

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男が好き、なんて。 異常者にも程がある。 何度己を『気持ち悪い』、『最低』と罵ったか知れない。 もう諦めようと思ったことなど星の数ほどもあった。 だが、結局好きになったらどうしようもなかった。 「…赤坂?」 春馬のそんな葛藤など知らず頭上から声が掛かる。 僅かばかり怒気を含んでいるようだった。 それでもなお春馬は顔を上げようとしなかった。 体が硬直する。 声の主が誰か分かってしまったからだった。 (~見れない…っ!) 春馬の机の上に手を付いて見下ろしているのは、当然、西野だ。 もはや意地だ、と春馬は意を決した。
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