三話

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──── そして春馬は廊下を歩いている。 正直、午後の授業なんて頭に入らなかった。 流し聞いて、今、放課後に至る。 次の数学の授業を思うと、ため息が出た。 一体どんな顔で西野に会えば良いのだろうか。 「「…はぁ」」 ため息が、何故か二つ重なった。 「え?」 ため息のした方向を見ると、一人の女。 茶色いウェーブの髪や童顔は見覚えがあったが、知り合いではない。 「あ、」 女も春馬を見て、小さく叫ぶ。 そして、春馬を指差して、唐突に言い放った。 「西野先生の彼氏さんだ」 赤坂春馬と冴木柚奈の、これが初めての出会いだった。
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