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そして春馬は廊下を歩いている。
正直、午後の授業なんて頭に入らなかった。
流し聞いて、今、放課後に至る。
次の数学の授業を思うと、ため息が出た。
一体どんな顔で西野に会えば良いのだろうか。
「「…はぁ」」
ため息が、何故か二つ重なった。
「え?」
ため息のした方向を見ると、一人の女。
茶色いウェーブの髪や童顔は見覚えがあったが、知り合いではない。
「あ、」
女も春馬を見て、小さく叫ぶ。
そして、春馬を指差して、唐突に言い放った。
「西野先生の彼氏さんだ」
赤坂春馬と冴木柚奈の、これが初めての出会いだった。
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