四話

5/10
前へ
/69ページ
次へ
自分は何故初対面の異性にここまで弱みを曝してるのだろうか。 何故こんなにも彼女の悲痛に歪む顔は自分を揺るがすのだろうか。 春馬はまだ、何もわかっていない。 「…やっぱり、おかしいよな。男を好きになるとか」 言葉の続きを見つけられなくて、春馬は苦笑した。 だがそう言葉にしてしまうと、乾いた空っぽの風が、体を吹き抜けたようだった。 「…私だってそうだよ」 力なく笑って、でも、と冴木は更に言葉を紡ぐ。 「私は透子ちゃんを好きになって、一度も後悔した事はない。ありきたりだけど、愛しいって気持ちは同じだと思うから。私は、透子ちゃんが好き」
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加