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背徳。
自己への嫌悪。
悲壮。
常の寂莫。
それらがいつもついて回った。一人であったから。
だから今は、辛くないと思いたかった。
哀願にも似た春馬の顔に、冴木がふと微笑む。
「そうだね。もう、私には赤坂君がいるんだもんね」
冴木の言葉もまた、告白じみていた。
恋人でも、友人でもない。いわば自分達は仲間なのだ、と、春馬は照れながらも自分の仮定に胸中で頷く。
今日という、出逢いの日。そして、始まりの日に。
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