五話

3/13
前へ
/69ページ
次へ
外はもう真っ暗闇の時間だった。 「あ、ミキくーん」 「…美喜(よしのぶ)だ。変な呼び方するな」 駐車場に向かうと、宣言通り自分と同じ顔をした男が自分の車の前に座り込んでいた。 ただし、座り込んだ男は髪を金に染め髭も丁寧に処理し、眼鏡も掛けていない。 一目では同じ顔とわからないだろう。 女にも見える雰囲気のその男は、へらりと笑って手を振ってきた。 立ち上がる足取りがおぼついていない。 本当に酔っ払っているようだった。 「いぃじゃん読めるんだしー。ね、ミキくん。今日泊め「嫌だ」 「え、即答?可愛い弟の頼みだよぉー」
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

123人が本棚に入れています
本棚に追加