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「柚奈ーっ」
快活な声が騒がしい教室内に響く。
冴木柚奈(さえき ゆな)は廊下からのその声にパッと顔を上げた。
声の主を確認して少女の顔はほのかに華やぐ。
「透子ちゃん!どうしたの?今日、部活は?」
「ん、1年の体育の実技発表で体育館占領されてたからオフ。一緒帰ろ?」
「うん!」
長谷川透子(はせがわ とうこ)は、バスケ部のエースだ。
キャプテンでも部長でもないが、バスケの素質で透子に並ぶ者がいない事を柚奈は知っている。
と言うより、長谷川透子は大抵の運動ならばそつなくこなす部類の人間だった。
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