一話

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殊に球技は得意らしく、体育でチーム分けをする時は、誰もが透子と同じチームになりたがり、敵になるのを嫌がった。 透子とはクラスが違うので、柚奈にとって関係のない話なのだが。 そう思うたびに、何故か柚奈の体を暗い影が満たした。 「あ、今日見たよ、体育。すごかったね透子ちゃん。ピッチャー似合ってた」 「ほんと?ソフトはあんまり得意じゃないけどね。なんとか勝てたよ」 午後、4時半。 この時期になると午後からが特に暑い。 だから、公園の脇道、木の多い道を帰るのが柚奈は好きだ。 ある程度の暑さなら木が遮ってくれるし、風が吹いた時の音が心地良い。
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