雪華

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-あ、雪。 寒さのせいかぼうっとした気分でふわふわと静かに降りてくる雪を見た。 横には水谷が寒さでかじかんだ手に"はあっ"と息をかけて暖めている 「ねぇ、栄口。雪と雨だったらどっちが好き??」 ふいに 水谷が笑顔で尋ねてきた 「ん~。どっちかっていうと雪かな、キレイだし」 雨はなんとなく好きになれない。しとしとと降り続く感じもゆっくりと纏わり付く感触も。 それに比べたら 雪の触ったときの冷たさと紙一重の痛さの方がましに思えた 機能を鈍らせた脳みそでそこまで考えて、ずり落ちてきたマフラーを口元まで覆うように巻き直した はあっとはいた息が冬の冷気に真っ白になっている .
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